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現在の障害児教育の課題

教育のリストラを跳ね返すことが求められる

04年7月7日更新

支援籍モデル市に、坂戸・熊谷
両市が一方的に指定される

文部科学省は「今後の特別支援教育のあり方」の最終報告(03年3月)を受け、04年2月、中教審に、「特別支援学校」「特別支援教室」や免許法など、「特別支援教育」にむけての法整備を諮問しました。これは通常学級で学ぶLD・ADHD・高機能自閉症など特別なニーズ教育を必要とする子どもたちへの支援に対して、あらたに予算や人的配置をするのでなく、従来の障害児教育の予算を再配分し行なうというもので、結果として、障害児教育をリストラする形ですすめる「特別支援教育」体制を確立するというものです。

埼玉県でも前土屋知事の「どの子にも普通学級籍を」の発言からはじまった「特別支援教育振興協議会」検討結果報告(03年11月)をうけた「ノーマライゼーション教育の推進」の動きが急速にすすんでいます。県教委は4月、特別支援教育課を再編整備し(一部、県立学校課と統合)、「障害のある子もない子も共に学ぶ」ことを全面に出したモデル市(坂戸市・熊谷市)と4校のモデル校を一方的に指定し、そのための予算を計上しました。また、国の「特別支援教育推進体制モデル事業」をさいたま市・戸田市・熊谷市の小中学校21校、障害児学校九校を推進校として指定して進めています。

一方、いま埼玉の障害児教育は教室不足(200教室以上も足りない)や医療的ケアの子どもたちの教育保障、障害児学級の充実などたくさんの課題を抱えています。

寄居養護学校は休校、存続の危機に

特に、県北西部の病弱児教育の拠点校だった寄居養護学校は01年の県立寄居こども病院の廃止を理由に存続の危機にたっています。04年3月、在籍していた3名の児童が卒業・転校し、4月より寄居養護学校は休校になりました。この間、父母・教職員・障害者団体などで「病弱教育の充実と寄居養護学校の存続をめざす会」を立ち上げ、三度の署名運動などにとりくみ、隣接する病院がなくなったあとも実質3年間学校を存続させてきました。

しかし、県教委は寄居養護学校存続への対策をほとんどせず、結果としてあらたな子どもたちの転入学を認めませんでした。存続を願う父母や教職員は、隣接する民間病院の移転にともない、寄居養護学校のあらたな活用・県立精神医療センターの思春期病棟(06年開設)に入院する子どもたちへの教育保障など、引き続き埼玉県へ病弱教育の充実をもとめて運動をすすめています。

このように今、私たちに求められているのは、障害児教育をリストラする「特別支援教育」を押し返すこと、そのためにも「権利としての障害児教育」をすすめてきた歴史と運動に学び、障害児教育や特別なニーズ教育の充実を願う父母や教職員など関係者がしっかりと手を結び、すべての子どもたちのゆきとどいた教育をもとめて大きな運動をすすめていくことではないでしょうか。

埼高教書記次長:小沢道夫 

(SSC埼玉障害者新聞04年5月20日付より)

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